HDD プレーヤー HD20GA7 その5
データ収集やら他のレビューやらで遅くなりましたが、今回は『HD20GA7』本体の出力周波数特性を見てみます。
他所のレビューを見てもヘッドフォンの特性がそのまま出ているようですが、実際どうなんでしょうか。ピンクノイズとアナライザを用いて出力周波数特性を計測します。
使用したピンクノイズは JCEA(日本カーエレクトロニクス協会)製作の『Car Audio Reference DISC " Spring "』に収録されている『1/3オクターブ・バンド幅均等エネルギー・ピンクノイズ』です。これを WAV 形式でリッピングした物を『HD20GA7』へ転送し、以前紹介した『PHONIC』 の『PAA2』を使って出力特性を計測しました。『PAA2』にはライン入力端子があり、出力機器の信号電圧『dBV』が測定できます。測定値は信号電圧なので、実際にヘッドフォンを使った時にはヘッドフォンの特性が大きく作用するはずですので、あくまでも参考値ということになります。
本来なら、均等幅ホワイトノイズと FTT アナライザを使うのが正しいやり方だとは思いますが、そんな高額な機器が買えるはずもありませんのでご容赦を。
サウンドモードを 『NORMAL』 にし、『PAA2』のオールパスレベルが 0.1V付近になるように、ボリュームを調整します。とはいえ『HD20GA7』の出力レベルが元々小さいのでほとんど Max レベルです。
計測してみると 10〜20KHz までフラットな感じです(上左)。比較対象として iPod で同じように計測してみましたが(上右)、こちらは 31.5Hz 以下と 5KHz 以上で減衰しています。また、それ以外の周波数が均一になっているのがよく分かります。
試しにカスタムサウンドで 90Hz と 3.7KHz を+5にして測定してみました。すると 90Hz と 3.7KHz 付近が+5dB ぐらいになるように補正されました。カスタムサウンドは説明書通り電気的にも正しいようです。また補正単位は『dB:デシベル』のようですね。
ヘッドフォンでの特性はどうでしょうか。ZENNHEISER の HD580 precision を使って、暗騒音も考えヘッドフォンで大きめの音量になるボリューム、オールパスレベルが 70dB になるように測定してみました。これもあくまで参考値になります。
これは実際の人体を使った測定は無理ですし、耳の形状によっても内耳での音の反響により周波数特性は変わるはずです。また模擬ピースを作るのも経済的に無理です。しょうがないのでイヤーパッドを手で覆うようにして、その中に『PAA2』の内蔵マイクを差し込んで測定しました。
結果、思った通りのフラットな特性です。また、
再生周波数帯域が 12〜38,000Hzとのことなのでその通りの低音域の落ち込みではあります。まあ『PAA2』の内蔵マイクは 30Hz 以下は微妙なのであてにはなりませんが、、、。
『HD20GA7』付属のヘッドフォンも測定してみました。ヘッドフォンと『PAA2』の内蔵マイクの間を 5mm ぐらいあけ、ヘッドフォンの外周をガムテープで筒状にして取り付けました。苦肉の策ですが(笑)
高音域での落ち込みはやはり取付形状の問題だと思いますが、3.15KHz 付近で尖っています。本来ならレデュースを掛けたい所ですが、現在のファームウェアのバージョンでは対応していないので、HDD プレーヤー HD20GA7 その4でやったカスタムサウンドの補正で低音 90kHz +2、高音 3.7kHz +3 で測定し直してみました。
まだ減衰してはいますが、低音域は持ち上がったようです。また、高音域は 3.15KHz 付近で尖っているので 3.7KHz で上げるのは良くないのですが、6.4KHz だと10KHz 辺りが持ち上がらないので、3.7KHz を上げざるを得ませんでした。
しかし、実際に聴いてみて調整した値が間違いではなかったということが証明された感じです。
基本的に『HD20GA7』自体がフラットな出力特性であるようなので、どんなヘッドフォンでもそつなく鳴らせるのは間違いないようです。あとは解像度の高さからくるヘッドフォンの再生応答スピードや、再生周波数特性でそれぞれの好みが分かれてくるでしょうね。ちなみに私はフラットな特性が好みですので、ファームウェアのバージョンアップ待ちと言う所でしょうか。
HDD プレーヤー HD20GA7 その1
HDD プレーヤー HD20GA7 その2
HDD プレーヤー HD20GA7 その3
HDD プレーヤー HD20GA7 その4